top of page
執筆者の写真柄木つね

まんが『光は回帰する』あとがき

ご覧いただきありがとうございます。

この物語はシラツユとガランドウがそれぞれ求めているものへ手を伸ばす話です。

シラツユは過去の自分を捨てて、新しい人間になることを望んでいます。自分のことがどうしても嫌いで好きになれなくて恥ずかしくてたまらない。だから非人道的な実験に協力をし、その先で「彼」(天使)に会うことで自分を変えようとしています。何度も何度も同じことを繰り返して失敗をして、ガランドウのような失敗作を捨ててきました。自分の手で殺すことも何度も考えましたが、彼女の中にある良心がそうはさせてはくれません。そのため部下に捨てさせているのです。しかし、これはシラツユが受けてきたことの繰り返しでもあります。シラツユは捨てられた人間でした。何もできなくて、役立たずだった彼女は捨てられました。拾ってくれたのは上司であるアステルでした。彼女は欲しいものを手に入れるためにアステルに協力するようになりました。

ガランドウは天使のかけらを埋め込まれた子どもです。天使と同じ役割を果たすために生み出されました。しかしいつまで経っても翼が生えてこないために捨てられました。彼はかけらによって記憶をもっており、自分に翼が生えてくることはわかっていました。翼があればシラツユを喜ばせることができる。そう思った彼は遠く離れた地で時を待ちました。自分を捨てたにもかかわらず、シラツユのことが好きでした。好き、というよりも執着に近い感情かもしれません。たくさんのものをくれたシラツユを手放したくありませんでした。翼が生えて、シラツユの元に戻った彼がどうなるかはまた別のお話。

タイヨウ(ヘリオス)は家族を失いました。諦めて目を閉じていたところを神様に救われました。家族を永遠のものにしたいと願った彼の目には永遠に失われないものが映るようになりました。自身も不死となり、長い時のなかを生きています。人を助けることを生きがいとしています。

オレグは兄を失いました。兄を遠くへやってしまった者たちを恨み、復讐を企てていました。ヘリオスに出会い、共に暮らしましたが、復讐の炎が消えることはなく、神様にたぶらかされて彼の元を離れました。

誰もが大切なものを失い、それを受け入れられずに、どんな形でも良いからと求めている、そんなお話でした。

また来年の6月に1冊つくれたらいいな~と思っていますのでこれからもよろしくお願いします!

閲覧数:9回0件のコメント

最新記事

すべて表示

イラスト集『痕』あとがき

ご覧いただきありがとうございます。 このイラスト集はデジタルイラストを描き始めた2016年から現在までの作品の中からいくつかのものをピックアップして作られました。 私は絵を描くときには自身の内面にあるものを出力することに重点を置いています。そのため当時の心情、思想などが色濃...

Comments


bottom of page